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【税法改正】注意!給与所得控除が下がると、基礎控除を上げても国民健康保険は上がるかもしれない

 

こんにちは イトカネです

 

そろそろ2018年の税法改正が定まってきましたね。

大局としては、年収850万円を超えるサラリーマンの方の所得税が上がるようです。

詳細についてはこちらの記事で書いています。

 

周りのニュースや上の記事は、所得税に焦点をあてて記載をしています。

結論として、会社勤めの(給与所得控除が使える)方で年収が850万円未満なら、所得税は変わりません。

 

ただですね。

 

最近税金にちょっと詳しい方とリアルでお話しして教えてもらったのですが。

社会保険に入っていない、つまり国民健康保険に入っている方がいる世帯は、実は保険料が上がるみたいなんですよ。

 

話を聞いていておもわず

「なるほど〜」

と目からウロコでしたので、皆さんにも展開しておきますね。

 

注意!!

その人からは概要を聞いただけで、細かい部分はGoogle先生に教えてもらいました。

なので、もし間違ってる部分があればコメントで教えてください。

 

2018/09/18 追記

2018年の税法改正が、実際の税金計算に適用されるので、2020年からとなります。

コメントにて指摘頂いた方、誠にありがとうございます。

 

 

国民健康保険とは

日本は「国民皆保険制度」を採用しています。

これは、日本に暮らしている人は、一部を除いてなんらかの保険に加入する必要があるという制度です。

 

除かれる一部とは、以下の人たちです。

  1. 社会保険加入者とその扶養家族
  2. 船員保険加入者とその扶養家族
  3. 国民健康保険組合加入者とその世帯家族
  4. 後期高齢者医療制度の対象者(75歳以上の人)
  5. 生活保護の対象者

 

例えば、あなたの努めている会社が社会保険制度を導入していれば、あなたはその会社の社会保険に加入することができます。

社会保険制度では、会社が保険料の半分を支払ってくれるので、国民健康保険より一般的には保険料は安くなるのでお得ですね。

 

そして保険に加入している人がいる世帯は、保険料を払う必要があります。

 

国民健康保険「税」と国民健康保険「料」

実は国民健康保険には、保険税と保険料の二種類があるって皆さん知ってましたか?

私は今回調べて初めて知りました。

 

「国民皆保険」は国の定めた制度ですが、国民健康保険税(料)を納める先は、あなたが暮らす市区町村です。

そして、保険税と保険料のどちらを採用するかは、市区町村に一任されています。

 

保険税と保険料の違いについては、こちらの記事が分かりやすかったです。

 

結論だけ言うと、納める金額や納め方に違いはありません

 

違うのは、あなたが保険税(料)を滞納したときの市区町村の対応です。

なので普通に納めている方なら特に気にする必要はないはずですよ。

 

制度的には、保険税のほうが市区町村にとってメリットがあるので、そちらを採用しているところが多いと思います。

「市区町村名 国民健康保険」で検索すれば、どちらを採用しているかが分かると思います。

 

国民健康保険税(料)の計算方法

実際にどれぐらい上がるのかを確認するために、計算方式を見てみます。

保険税でも保険料でも、計算方式に違いはありませんのでご安心ください。

 

国民健康保険の内訳

国民健康保険税(料)は次の3つの要素で構成されています。

  1. 医療
  2. 後期高齢者支援
  3. 介護

このうち、3は20歳〜64歳の保険加入者がいる世帯だけが支払います。

 

つまり、次の計算を行うということです。

<20歳〜64歳の保険加入者がいる世帯>

国民健康保険税(料) = 医療分 + 後期高齢者支援分 + 介護分

 

<20歳〜64歳の保険加入者がいない世帯>

国民健康保険税(料) = 医療分 + 後期高齢者支援分

 

国民健康保険の計算方式

医療分、後期高齢者支援分 (以下、後期分とする)、介護分それぞれで計算が必要なのですが、計算方法も実は3種類あります。

だんだん複雑になってきましたね(笑)

 

計算方法(賦課方式)は次の3つです。

  1.  2方式(所得割、均等割)
  2.  3方式(所得割、均等割、平等割)
  3.  4方式(所得割、均等割、平等割、資産割)

 

いくつの方式で計算するかだけの違いによるネーミングですので覚えるのは簡単かな。

これも「市区町村名 国民健康保険の計算方法」とかで検索すれば、どの方式を使っているかはすぐにわかると思います。

 

例えば、3方式を採用している市区町村の場合は、

  • 医療分 = 所得割額 + 均等割額 + 平等割額
  • 後期分 = 所得割額 + 均等割額 + 平等割額
  • 介護分 = 所得割額 + 均等割額 + 平等割額

と医療、後期、介護それぞれについて方式ごとに計算した結果を合算します。

 

 

この所得割額を計算するときに、給与所得控除の減額が効いてきます。

 

頭がこんがらがってきた人もいるかもなので、ちょっと内容を整理しておきます。

  • 国民健康保険(国保)には、市区町村ごとに保険税と保険料の違いがあるが、税と料による支払額に対する違いはない
  • 国保税(料)の支払額は、医療、後期、介護の3つの要素の合算で計算する
  • 医療、後期、介護のそれぞれについて、市区町村ごとの賦課方式にしたがって計算する

 

具体的に計算してみる

「説明はいいから結局いくら上がるのか早く言え」って言葉が聞こえてくる気がしたので、具体的に計算してみましょう。

 

モデルケース

例として以下の場合を考えてみます。

  • 札幌市在住
  • 家族構成は、夫(年収400万)、妻(年収100万)、子1人(年収0)

 

世帯所得を計算する

国民保険税(料)を計算するときに注意すべき(所得税と異なる)点は2つあります。

1つは、個人ごとではなく、世帯ごとに計算すること。

もう1つは、所得を計算するときに引ける控除は、給与所得控除だけだということです。

 

そうです、基礎控除は引けません。

正確には国民健康保険用の基礎控除を引くのですが、所得税計算用の基礎控除とは別なので、来年上げる予定の基礎控除は効果がないのです。

 

これが、国民保険税(料)が上がるかもしれない理由です。

 

世帯所得基準額の計算

f:id:finenot:20171209134910p:plain

 

繰り返しますが、表中の給与所得控除は来年下がり、基礎控除33万円は据え置きです。

なので来年は、基準額が上がるということを覚えておいてください。

 

表から、この世帯の所得基準額は、次のようになります。

改正前の基準額 = 2,330,000 + 20,000 = 2,350,000

改正後の基準額 = 2,430,000 + 120,000 = 2,550,000 

 

医療、後期、介護分の計算

保険料の計算/札幌市を見ると3方式を採用しています。(まあ、3方式を探したんですけどね)

なので医療、後期、介護それぞれについて、計算式に従って計算しましょう。

 

改正前の場合

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改正後(給与所得控除減額)の場合

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それぞれの合計は以下の通りで、来年には国保の支払額が年間で約3万円上がります。

改正前の国保 = 295,900 + 96,930 + 105,150 = 497,980

改正後の国保 = 323,900 + 102,830 + 111,550 = 528,280

 

もちろん世帯の構成や市区町村によって、計算方法は変わってくるので一概には言えませんが、国民健康保険に加入している方のいる世帯は、念のため支払額が上がるのかは確認しておくと良いと思います。

 

自分で計算するのが面倒なら、市区町村の窓口に行けば(たぶん)親切に教えてくれますよ。

 

最後に

一言で言ってしまえば、国民健康保険加入者がいる世帯は来年の保険料がすこし上がるかもしれないよ、ということです。

2020年になって、なんか保険料上がったかな?となった方は、この記事を思い出して貰えればと思います。

 

税改正のニュースは所得税に焦点を当てていて、850万円以下の人は税負担は変わらないから心配しなくていいよ!と言っているのが多い気がします。

 

ただ、例えば勤め先が小規模で社会保険制度に入れていない人は、おそらく税負担が増えます。

勤め先が小規模ということは、大抵はそれほどお給料は多くないと思いますので、低所得者の負担が増えるという悲しい結果になるということです。

 

財務省がこのへんもわかっていて、今回の税改正をしているのだとしたら、ちょっと嫌ですね。

もし分かっていないでやっているのだとしたら、もっと嫌ですけど。

 

 

ご意見、ご感想ありましたら、コメントからお願いいたします。

 

コメントへの回答

2018/09/18 たかもりのパパさま

①「結論として、個人事業者などの会社勤めでない方で年収が850万円未満なら、所得税は変わらないとしています。」とあります。 この場合の年収は、収入と考えて宜しいのでしょうか? 極端ですが、たとえば収入850万円で経費0万円で所得が850万円の人、収入850万円で経費850万円で所得が0万円の人両方に当てはまるのでしょうか。

まず、文章は以下の誤りです。申し訳ありません。
誤:「結論として、個人事業者などの会社勤めでない方で年収が850万円未満なら、所得税は変わらないとしています。」
正:「結論として、会社勤めの(給与所得控除が使える)方で年収が850万円未満なら、所得税は変わらないとしています。」

 

> この場合の年収は、収入と考えて宜しいのでしょうか?

給与所得控除が使える会社員を意図しておりましたので、給与収入の意味で書いておりました。

 

> たとえば収入850万円で経費0万円で所得が850万円の人、収入850万円で経費850万円で所得が0万円の人両方に当てはまるのでしょうか。


こちら個人事業主の方を対象とした質問でよろしかったでしょうか。
個人事業主の場合は、所得が2,400万円以下ならば、基礎控除が10万円増えるので、所得税は若干減ります
つまり上記の質問については、

  • 収入850万円で経費0万円で所得が850万円の人は、基礎控除+10万円分、所得税が減ります
  • 収入850万円で経費850万円で所得が0万円の人は、もともと所得税は0円です。 ※住民税は計算方法が異なるので掛る可能性があります。

850万円という数字は、個人事業主の方にとっては関係ない値、ミスリードでした。

 

すでにご存知かもしれませんが、青色申告特別控除(65万円)を受けておられる場合、電子申請の手続きをしないと控除額55万円に下がってしまうようです。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf

 

>②給与所得控除や基礎控除等の2018年税制改正は、2020年所得税の計算から適用されるのではないでしょうか。 それとも、国民健康保険料の計算では2018年から影響があるのでしょうか。

おっしゃる通り、2020年度からの適用となります。本文中の記載も修正しました。

 

③本文中の給与控除とは給与所得控除のことでしょうか。

おっしゃる通り、給与所得控除の意図で書いておりましたので、本文中の記載も修正しました。

 

④「例えば勤め先が小規模で社会保険制度に入れていない人は、おそらく税負担が増えます。」とありますが、所得税や住民税が増えるのでしょうか?国民健康保険料(税)が増えるのでしょうか?それとも両方でしょうか? 国民健康保険料(税)が増えるのであれば、その分の社会保険料控除も増加し、その結果、所得税や住民税は減るのではないかと思いました。

所得税や住民税は減るのは、まさにご指摘のとおりです。

 

ただし、会社員の方で、給与所得控除が10万円減る場合の試算として、記事中にて国民健康保険料(税)が3万円増加するとしました。
この3万円は、そのまま所得税や住民税から引くことのできる税額控除ではなく、所得税や住民税の計算元となる所得を算出する際の所得控除です。


そのため、きとんとは計算しておりませんが

国民健康保険料(税)の増額分(3万円) > 所得税の減額分+住民税の減額分

となると考えられます。

 

そのため、一概には言えませんが、トータルの税負担は若干増加すると考えております。