【税法改正】どうやら所得税の基礎控除を上げるしわ寄せ方針も決まっていたようだ
こんにちは イトカネです
2018年の所得税について、つぎのような記事を書きました。
内容を要約すると
- 基礎控除が上がって、所得800万円(仮)未満の人は所得税が減るよ!
- その代わり所得が800万円より上の人は、所得税増えるよ。
- (感想)差引で国の税収が減る気がするけど、別の税金が上がるのは嫌だなー
という記事でした。
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税金の上げ先は、実はもう決まってたみたい。
年金控除、高所得者は縮小 所得税改革の政府原案、給与所得控除も減 :日本経済新聞
基礎控除を上げることのしわ寄せは、高所得者の年金、給与所得控除の削減に行くようです。
やったね!
ただ直接は書かれていませんが、記事の資料を見る限り一般の年金受給者も増税になるようにも見えます。
【2017/12/05 追記】
全然「やったね!」じゃありませんでした。
最新の情報はこちらをご覧ください。
今日はこの記事の内容についてちょっと掘り下げて、みなさまの突っ込みに期待しようと思います(笑)
2018年の所得税改革は大きく3つ
- 基礎控除の増額
- 年金控除の削減
- 給与所得控除の圧縮
この3つが大きな改革案です。
基礎控除の増額
前回の記事で説明をしていますので、ご参照ください。
今日は残りの2つについての記事になります。
年金控除の削減
現行の公的年金等控除と、見直し後の公的年金等控除にグラフです。
ちなみに単に「年金」というと個人年金も含んでしまうので、「公的年金等」と書くようにします。
一番上、120万円からスタートしている薄い青色の線が現行の公的年金等控除です。
国税庁のページの表とも情報は一致しています。
年金を受け取る人の年齢 | (a)公的年金等の収入金額の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 |
---|---|---|---|
65歳以上 | |||
1,200,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,200,000円 | |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 |
これを次のように変えると政府では言っています。(グラフを見ながらのほうが分かりやすいと思います)
- 公的年金等の年収が1,000万円以上の場合、(b)割合を0%にする
- (c)控除額を、一律で10万円を下げる
- (c)控除額を、総年収が1,000~2,000万円の人は追加で10万円下げる
- (c)控除額を、総年収が2,000万円以上の人は、さらに追加で10万円下げる
「一律で10万円下げる」話は、記事の中では言っていなくて、グラフから勝手に読み取りました。
これ、年金生活の方全員に影響すると思うので、気を付けてください。
とりあえずは、所得税率が10%の人なら、年間で所得税が約1万円だけ高くなるかも、という認識でいいと思います。
給与控除の圧縮
各国の給与所得控除をグラフ化した記事内の画像です。
これをもって、日本は給与所得控除が高いから、下げようという話をしています。
政府は年収と上限をともに引き下げ800万~900万円台より上の人に負担増を求める案を軸に据えているが、与党との調整は曲折をたどりそうだ。
:
ちょっと待ってください。
さすがにイギリスの給与所得控除が0って本当なんですかね?
日本とイギリスで、平均給与や物価にそれほど開きがあるとは思えません。
確かにヨーロッパ圏は、医療費が結構優遇されてはいますが・・・
気になって調べてみましたところ、こちらの方の記事が分かりやすかったです。
イギリスでの所得税。意外と安い税率?税金と人生の不安の関係。 – コスモポリタン・エンジニアライフ by はるか
記事内のイギリスの所得税表を引用させていただきます。
Band | Taxable income | Tax rate |
---|---|---|
Personal Allowance | Up to £11,000 | 0% |
Basic rate | £11,001 to £43,000 | 20% |
Higher rate | £43,001 to £150,000 | 40% |
Additional rate | over £150,000 | 45% |
年収が16,000£(約240万円)で何も控除できない場合、所得はそのまま16,000£(約240万円)です。
上の表から、20%の税金がかかるということを言っています。
日本で年収が240万円なら、少なくとも基礎控除(38万)と給与控除(90万)を引けます。
すると所得は112万円になりますので、税率は5%です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
- イギリス:所得240万円 税率20%
- 日本:所得112万円 税率5%
なんだ日本安いじゃん!と思った方。
詐欺の勧誘にはちょっとだけ気を付けましょう。
この後の所得税の計算方法が実は違っています。
日本の場合は、112万円×5%=5万6000円がそのまま所得税です。
しかしイギリスの場合は次のように計算します。
- 0~11,000£までは、税率0%なので非課税!
- 16,000£-11,000£=5,000£に20%を掛けた、100£(約1万5000円)が所得税になる
つまり超えた分ごとに税率をかけていく計算方式です。
もちろんこれは低所得の計算だからこそ、イギリスのほうが所得税が低くなっています。
イギリスの税金は、基本的に低所得者を優遇しています。
しかし所得税表を見てわかる通り、イギリスのほうが税率が上がるスピードが速いので、高所得の場合は日本より圧倒的に所得税が高くなります。
ここから日本における、高所得者の給与所得控除が高いことは事実です。
ここで言いたかったことは、11,000£まで全員非課税なら、実質これが給与所得控除でしょ?
つまり、イギリスの給与所得控除が0ってミスリードではないか。ってことです。
この話の根幹は、低高所得者間の税負担の増減の話をしているのだから、実際にかかる税金まで見ないと正しい議論ができないのでは?と思いました。
:
あ、ちなみにイギリスの高い税金は、大学の無料化や、病院の医療費(ほとんどタダ)に使われているそうです。
まとめ
- 年金生活の人は、全体的に所得税は上がる
- 現役で、年収800万円超えてる人も所得税は上がる
- 上記以外の人は所得税は下がる
【2017/12/05 追記】
ごめんなさい、 所得税が下がる話は嘘でした。
最新の情報は、こちらをご覧ください。
政府の試算として、
「基礎控除の増額による税収減」と「高所得者の年金控除、給与控除減による税収増」
でつり合いがとれているかはわかりません。
もしかしたら、追加で別の税金調整がまだ残っているかもしれません。
でも、ちょっと安心しました。
今回の記事から、政府の基本スタンスは
金を持っている奴からたくさん搾り取る
のようなのでね。
:
そいじゃあ、国家議員の人数減らしましょーねー
ご意見、ご感想お待ちしております。