【税法改正】あくまで要望だけど!金融庁の「平成30年度税制改正要望」に目を通してみた
こんにちは イトカネです
上の基礎控除が上がる話を書くにあたって、税金について色々調べていたら、平成30年度税制改正要望(金融庁)なるものがあることを初めて知りました。
内容は、金融庁が提出している来年平成30年の税改正要望の一覧になっています。
あくまで要望なので、すべてがそのまま通るわけではありません。
むしろ何年間もずっと通らないでいる要望もあります。
で
最近話題にNISAに関する要望があったので、取り上げてみようと思いました。
NISAなどの利便性向上・充実
いくつか要望がありますが、個人的に気になるのは次の3つですかね。
- NISAの口座開設申込時に、即日で買付けを可能とすること
- 成人年齢引下げに伴う対応
- NISA口座の恒久化
内容の詳細が書かれていないので、文面からの予想になります。
即日で買付けを可能とすること
現状、NISA口座への申し込みを行うと、2週間〜1ヶ月程度の審査期間が必要です。
審査の間は、NISA口座による買い付けは出来ません。
要望をそのまま捉えるならば、申込みをしたらすぐにNISA口座が開設され、買付けができるようになるということでしょうね。
流石にその日の内に開設するのは難しいかもしれませんが、せめて特定口座と同時に開設ぐらいしてほしいところです。
あのもどかしい日々はもう二度と・・・
成人年齢引下げに伴う対応
NISAには3つの種類があります。
通常NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAです。
この内、その年の1月1日時点で20歳未満の人はジュニアNISAしか申し込むことができません。
これを、現行の成人年齢である18歳に合わせて年齢を引き下げるという要望かと思います。
積立額や非課税期間などの制度の優位性は、あきらかに
ジュニアNISA < 通常NISA、つみたてNISA
なのでこちらも期待しています。
NISA口座の恒久化
これですよ、これ!
ぶっちゃけ他の要望とかどうでもいいんで、早いとこ恒久化してほしいです。
通常NISAで5年間、つみたてNISAなら20年間が現状での非課税期間です。
その期間を超えたら、特定口座に移すか、売却するか、その年のNISA口座へのロールオーバが必要です。
面倒すぎるでしょ
NISAのモデルとなった英国ISAでは、制度が始まってから約9年間で恒久化されました。
の最後にある「これまでの要望経緯」を見るとわかりますが、NISAが制定されてから今年で8年目になります。
そして、平成25年頃から恒久化の要望は出されています。
年数的にはそろそろ恒久化されるのでは?という思いもあります。
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ただ、一方で制度の普及率がまだまだ低いような気もしています。
平成29年3月末時点で、一般NISAの口座数は1,077万1,391口座、買付額は10兆5,469億8,376万円となっている。
また、ジュニアNISAの口座数は21万1,445口座、買付額は405億9,961万円となっている。
NISA口座の複数開設はできないので、割合としては日本人口の1割程度が開設している計算です。
対して、英国ISAが恒久化した時は、英国人口の4割程度がISAが制度を利用していました。
この普及率の差をどう乗り越えるか、金融庁の方々に期待したいところです。
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他にNISAとは関係ありませんが、2つほど気になる要望があったので、取り上げておきます。
生命保険料控除制度の拡充
生命保険料控除は、生命保険・介護医療・個人年金の3項目について、それぞれ上限4万円、合計で12万円まで控除することができます。
詳しくは、国税庁のページをご参照ください。
これを、各項目ごとに上限5万円、合計で15万円まで控除できるようにするための要望です。
こちらの資料内でちょっと気になる調査結果がありました。
民間調査会社によるアンケート調査によれば、回答者の約7割が、生命保険料控除制度が拡充された場合、生命保険への加入もしくは加入を検討したいと回答しており、制度の拡充によって生命保険への加入インセンティブは高まることが予想される。
控除額が上がるから、生命保険に加入するって流石に短絡的ではありませんか。
控除というのは、そのまま税金が減るわけではありません。
今回の要望なら、生命保険については1万円しか控除額は上がりません。
所得税率が20%の人でも、1万円✕20%で2,000円しか税金が減らないということです。
そもそも、生命保険の上限4万円でも十分ではないでしょうか。
日本の医療保険制度は整っていますので、よっぽどのことがない限り巨額の保険料支払いをする必要はありません。
生命保険の、特に医療保険はある程度の貯金がある方にとっては無駄な支払いです。
公募投資信託等の内外二重課税の調整
公募投資信託等の内外二重課税の調整(金融庁、国土交通省)(PDF:60KB)
上記は個人に直接影響する話ではなく、投資信託を販売している証券会社に関する話のようです。
しかし、間接的には影響があります。
私たちが証券会社で、外国株式を含む投資信託を購入したとしましょう。
内部の外国株式の中に配当金を出すものがあった場合、今のところは外国での税金と日本国内での税金両方を支払っています。
俗に言う、二重課税というものです。
このことは、私たちが購入した投資信託の運用結果を下げる要因になっているはずです。
この外国で支払い済の税金を、国内で支払う税金から控除出来るようにするというのが要望の中身です。
投資信託にかかる外国税については、こちらのサイトでまとめられていました。
投信で外国株式や外国REITを買うと配当金が2重課税 - ファイナンシャルスター
米国の30%の一部でも取り戻せるならば、嬉しい限りです。
てか、英国って0%なんですね・・・
ちなみに
個人で外国株式を購入した場合、外国で10%+国内で20%の税金を支払う必要がありますが、確定申告を行えば、最大で外国の10%までは取り戻すことが出来ます。
この10%も全部取り戻せるようにならないかなー(チラ
最後に
税法の改正は、知らなくても勝手に得するもの、知らないと損するものの2パターンがあると思います。
基礎控除の増額については、会社員の方であれば会社が勝手に処理をしてくれるでしょう。
要望の中にかぎらず、実際に適用されたものはその年度に4月には、税制改正の概要 : 財務省で公開されるようです。
知らずに損することがないように、こういった資料には出来るだけ目を通していきたいですね。
ご意見、ご感想あればコメントよりお願いします。